古着から新たな服をつくり、社会の課題を発信する――。そんなコンセプトで文化服装学院(東京都渋谷区)の学生が制作した作品が、2月末からSHIBUYA109渋谷店(同)で展示される。若者たちは作品にどんな思いをこめたのか。
ファッション流通科の1年生320人が取り組んだ。52チームに分かれ、それぞれテーマにした課題の現状を調べ、メッセージをこめた服を制作した。いずれも「古着屋西海岸」を運営する日本ファイバー(福岡県大川市)から提供された古着を、材料として使った。
1月24日に代表14チームのプレゼンテーションがあり、「動物の殺処分」「若者のドラッグ使用」「男女差別」などの作品が発表され、審査で上位3チームが決まった。
10~20代に最も多い死因は
1位になったのは、「若者の自殺」をテーマにしたチームだった。日本では10代や20代の死因で自殺がもっとも多く、2022年には小中高校生の自殺が514人で過去最多を更新した。
作品のドレスには、古着から黒やグレーなど暗い色のはぎれを縫い付けた。「一つひとつが小さくても、積み重なって重くなった負の感情」を表現した。一方で、赤や水色など明るい色の装飾に「愛情」の意味をこめた。
メンバーの合庭元之助(あいばげんのすけ)さん(19)は約2週間、仲間がハサミで切ったはぎれを縫い付けるため、深夜までミシンと手を動かした。「自殺ほど寂しいことはないと思うし、誰にも起きてほしくない。嫌なことがあっても、包み込んでくれる人がいると伝えたい」
切り裂いたレザー、焦げたワンピース
学生たちは子どものころから…
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル